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『JIN-仁-』村上もとか氏ら4作家が参加!「マンガ・アート・ミュージアム」第2弾で原画の魅力が再燃

第2弾参加作家が発表

今回新たに加わるのは、大ヒット作『JIN-仁-』で知られる村上もとか氏、『宮本から君へ』の新井英樹氏、『ゆりあ先生の赤い糸』の入江喜和氏、『ナチュン』の都留泰作氏の4名です。

彼らは、すでに展示されている『土佐の一本釣り』の青柳裕介氏、『ぼのぼの』のいがらしみきお氏など、昭和から平成にかけて日本マンガの歴史を彩った12名に加え、合計16名のマンガ家による厳選された約600点の原画が展示されます。

消えゆく紙の原稿と原画の価値

現代のマンガ制作はデジタルが主流となり、かつての「紙とペンと墨汁」で描かれる原稿は失われつつあります。デジタル配信が主流となる中で、紙の原稿が持つ独特の魅力や迫力は、印刷されたコミック誌や単行本では伝わりにくいのが現状です。

「マンガ・アート・ミュージアム」館長の熊田正史氏は、マンガ原画の持つ特別な力について次のように語っています。

「マンガの原画と、我々が目にするコミック誌やコミックスの絵はまったく別物なんです。初めて生の原稿を受け取ったときのショックは今でも忘れることができません。キャラクターの感情までをも表現するようなペンタッチ、ていねいに削られて見事に陰影を描き出すスクリーントーンの使い方、マンガ誌で見るのとはまるでちがう迫力があります。残念なことにコミック誌は束を出すために粗悪な紙が使われています。そのため、このペンタッチはほとんど消えてしまうんです。ましてやサイズの小さな単行本ではトーンの微妙な陰影なども潰れて極めて単調なものになってしまいます。カラー原画は多色で描かれたものを4色で再現するため、粗悪な紙と相まって原画とは似ても似つかないものなっているのが現実です。昔、読んだマンガの原画を見て、原画だけが持つ迫力と魅力の一端にぜひ触れて、アートとしてのマンガを鑑賞していただければと思っています。」

文化遺産としてのマンガ原画を未来へ

明治期に浮世絵がその価値を十分に認識されず、多くが消失してしまった歴史があるように、マンガ原画もまた、日本の貴重な文化遺産として保存されるべきものです。このミュージアムは、マンガ原画をデジタルで永久保存し、世界のマンガファンにアートとしてのマンガを再発見してもらうことを大きな目的としています。

第2期展は12月22日から開催されます。詳細については公式サイトをご確認ください。

新規参加作家プロフィール

村上もとか

1951年東京都生まれ。1972年に『週刊少年ジャンプ』でデビュー後、『週刊少年サンデー』で活躍。『六三四の剣』以降は青年誌へ移行し、『龍-RON-』『JIN-仁-』などの大ヒット作を連発しました。『JIN-仁-』はテレビドラマ化され、高視聴率を記録。講談社漫画賞、小学館漫画賞、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、手塚治虫文化賞など、数々の賞を受賞しています。

村上もとか氏 作品イメージ

新井英樹

大学卒業後、会社員を経てマンガ家を目指し、1989年「8月の光」でアフタヌーン四季賞大賞を受賞。1990年に『宮本から君へ』(モーニング/講談社)で連載デビューし、1992年には同作で小学館漫画賞を受賞しました。その後、性と暴力をテーマにした『愛しのアイリーン』『ザ・ワールド・イズ・マイン』、テロと革命をテーマにした『キーチ‼︎』などを発表。緻密で繊細な画柄と、エネルギーに満ちた作品内容で熱狂的なファンを多く擁しています。

新井英樹氏 作品イメージ

入江喜和

1988年、小池一夫劇画村塾でマンガを学び始め、同年「月刊アフタヌーン」四季賞を受賞。1991年「モーニング」(講談社)で連載デビュー作『杯気分!肴姫』を発表。連載第2作『のんちゃんのり弁』はテレビドラマ化されました。その後、連載時の自分と同年代の女性を主人公にした『おかめ日和』『たそがれたかこ』『ゆりあ先生の赤い糸』を立て続けに連載し、『ゆりあ先生の赤い糸』は講談社漫画賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。多様な登場人物による群像劇で多くのマンガ好きを唸らせています。

入江喜和氏 作品イメージ

都留泰作

1968年生まれ。生物学や文化人類学などを研究する傍ら、月刊アフタヌーン四季賞で佳作を受賞しマンガ家としてデビュー。現在、『ういちの島』(新潮社/くらげバンチ)や『竜女戦記』(平凡社)を連載中です。代表作には『ムシヌユン』(小学館)や『ナチュン』(講談社)などがあります。

都留泰作氏 作品イメージ