30周年記念作品、満を持して書籍化
『猿』は、京極夏彦氏が小説家デビュー30周年を迎えた2024年から1年間、雑誌「怪と幽」で連載された長編作品です。連載版に大幅な書き下ろしが加えられ、ついに単行本として登場しました。
「恐怖」とは何か?現代ホラーに切り込む
近年、『近畿地方のある場所について』など、ドキュメンタリー風のホラー作品が人気を集める中、京極夏彦氏が本作で切り込んだテーマは「恐怖」や「恐ろしさ」の本質です。
同居人が天井を見ながら口にした「猿がいる」という言葉から始まる物語は、かすかな異様な気配、曾祖母の遺産相続、岡山県山中の限界集落で感じる違和感など、日常に潜む不穏な要素が読者の心に迫ります。ただの錯覚だと思いたいのに、拭いきれない不安が募っていく――。京極氏がどのように「恐怖」を描き、そしてどのように「恐怖」を解きほぐしていくのか、その手腕に注目です。
異彩を放つ装幀にも注目
本作は、その物語だけでなく、装幀にも特別なこだわりが詰まっています。

カバーには全面に金の箔押しが施され、見る角度によって猿の姿が現れたり、見えなくなったりするという不可思議な仕上がりです。装幀は坂野公一氏(welle design)が手掛けており、作品の世界観を視覚からも表現しています。
書誌情報
発売日:2025年12月22日(月) ※電子書籍も同日配信
定価:2,200円 (本体2,000円+税)
頁数:368頁
装幀:坂野公一(welle design)
体裁:四六判上製 単行本
ISBN:9784041157190
発行:株式会社KADOKAWA
作品情報ページはこちらで確認できます。
https://www.kadokawa.co.jp/product/322408001786/
著者プロフィール:京極夏彦
1963年、北海道生まれ。小説家・意匠家。印刷博物館館長。日本推理作家協会監事。1994年『姑獲鳥の夏』でデビューして以来、数々の文学賞を受賞しています。代表作に『魍魎の匣』、『嗤う伊右衛門』、『後巷説百物語』、『遠野物語remix』、『遠巷説百物語』など多数。
京極夏彦氏の公式HP「大極宮」はこちらです。
https://www.osawa-office.co.jp/
また、〈巷説百物語〉シリーズの紹介記事も公開されています。
https://kadobun.jp/feature/readings/entry-89615.html
https://kadobun.jp/feature/readings/entry-131554.html
「恐怖」の本質に迫る京極夏彦氏の最新作『猿』。京極作品ファンはもちろん、ホラー小説好きや、読み応えのある物語を探しているマンガ愛好家にも、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
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