本日のゴルフは島、平瀬健一、長峰和馬の3人である。後期高齢者となった島だがいまだ腕は衰えず、あわやイーグルである。UEMASTUを退社し、森塗研を買い取った長峰はゴルフをするだけの余裕はあるのだろうか。森塗研の経営状態は決して良くなかったはずだが、ステルス塗装の件が舞い込んだことで安定したのだろうか。
なんとなく他人事に感じるのはやはり外様だからなのだろうか

そして、この3名に剣持松男から引退勧告をくらった上杉博志が加わるのも時間の問題だろう。昼食をはさみ後半9ホールを回っている間の話題は、剣持の社長専用車のドライバーが辞職した件が中心だが、なんだか島はもう第三者的で少々影が薄い。剣持松男を2代目社長に推薦した一人であり、独裁を招いたきっかけなどの責任感はなんだか希薄なのである。
さて、辞職した運転手の代わりの新たな専用運転手が決まったようだが、次は社内の人間ということだ。選んだのは上杉。そう、早くも刺客を送りこんだのである。退任まで3カ月しかないので、その間に剣持の失脚につながるようなネタをつかまなくてはならない。つまり、時間がないのだ。それにしても島もそうだが、平瀬もその様子を面白がっていて、社外取締役の自覚があるのかないのか。その姿勢はどうなのか、ほんとにUEMATSUの利益を考えてのことなのか、少々疑問に思うところである。
ということで、次のドライバーに抜擢されたのは富山という人物である。元タクシードライバーで都内の状況にも詳しいとあり、晴海フラッグまでの時間の読みもばっちり。前任者より仕事ができそうである。まあ前任者が冴えなかったこともあるだろうが、今のところ剣持の信頼も得られそうである。それはつまり、上杉の作戦どおりということだ。刺客を送り込まれていることなど知らない剣持は一人で交渉に向かうが、そういった状況も即時に、富山を通じて上杉に伝わってしまうのである。なんだかこれはこれで剣持がかわいそうな気がするが、まあ自業自得ということなのだろう。
大義のために盗聴もためらわない法務部長

そして、剣持に恨みを抱いているのは上杉だけでなかった。法務部長の坂東太郎も剣持に怒鳴られ、はらわたが煮えくり返る思いをしたことがあるようで、つまり、UEMASTU社内に強力な反剣持派が2人もいることになる。
法務部長の用意周到さは半端がない。富山が携帯しているスマホのGPSを利用し、社長の移動ルートをきっちり把握。そして、後部座席での会話も富山に持たせるであろうボイスレコーダーで、すべて録音する腹積もりなのである。さらにそれらはPCに自動送信されるよう設定済み。こんなのは法務部長の仕事ではないとは思うが、それほど恨みを買っているということだろう。こうなってはもう止められない。社内闘争というかクーデターの狼煙というか、夜の行動も当然のように富山を通じて把握される剣持。しかし、その後の追跡も富山が行うのだろうか。坂東と富山の関係は不明だが、もはやドライバーの仕事はとっくに超えている、と思わなくもないのである。