お気に入りマンガの感想のようなブログです【一部ネタバレあり】

【STEP11】Amado Mio

さすが、業界3位の会社の副社長である。おそらく自身が所有しているプレジャーボートで清宮由美子と釣りデートなのである。しかし、いつもなら釣れるはずのブリはかからず、由美子はすっかり退屈なのである。そもそも由美子が釣りを望んでいるのか、プレジャーボートでリッチな遊びがしたかっただけ、なのかはわからないが。

退屈なだけなら良いが、由美子が銀座七丁目に開いた店「ギルダ」の客入りも良くないようである。飲食店にとってコロナは大打撃である。持続化給付金で手当てをしても、どうにでもならないくらいなのだろうか。融資の返済は、高野と一晩付き合えばどうにでもなりそうだが。

せっかく上がったシイラの美しさに由美子は関心を持つも、今度は植松圭介が興味を持たない。プレジャーボートでのデートは互いにとって、冴えないものに終わったようである。

いつまで探偵を雇い何を探るのか、そこまで知る必要はあるのか

七瀬五郎から圭介の動向を聞き取る島。それにしても、島たちはいつまで探偵に依頼しているのだろうか。調査費用だ賭けでの一日あたり十数万円が発生していそうだが、その金はだれが払っているのか?そもそも、金をかけてまで圭介の動向をリサーチする必要があるのか?もはや楽しみか、島たちの道楽なのだろうか。

さて、圭介が週三日ほど通っているギルダは、会員制のBARである。初めてだと入店できないのかと思いきや、島と七瀬がふらりとやってきたテイで訪れると、あっさり入店できるのである。コロナで売り上げが苦しいなかでは、一見さんお断り、などと言っていられないということか。

「ギルダ」の店名の由来などで話を合わせる島。このあたりの博識はさすがである。それに乗っかる七瀬も只者ではない。

冴えない男と切れる男の非情なまでのコンストラクト

そんな場に、ふらりとやってきてしまうのが四菱銀行の高野である。典型的な冴えないこの男は仕事の愚痴をこぼし、ママをアフターに誘う。

島と七瀬は、圭介がつき合っている由美子の顔を確認し、さらに太客の高野の存在まで把握できたので、もう店に用はない。架空の企業の名刺を由美子に渡し、ギルダの会員になったので、さっさと引き上げるのだった。

さて、引き上げる際に見事なタイミングで現れたのが剣持松男である。さすが、島ワールドで起きる偶然である。松男のほうは島たちに気が付かず、ギルダに向かっている。間髪入れず、松男に顔が割れていない七瀬がエレベーターに乗り込む。このあたりの判断の早さは、さすがグレちゃんの生弟子というところか。

深読みする耕作だがたぶん副社長はそこまで賢く計算していない

圭介が、松男を由美子の店に連れてきたのは、どのような理由なのだろうか。たんに自慢したかっただけなのか。島は、圭介が会社の金をギルダにまわすことになった際、味方につけておくために松男を引き込んでいると推理するが、そもそも圭介は保証人になっているだけだろう。先手を打つほど圭介は切れ者ではないように見えるが、実際はどうなのだろうか。

ギルダのオープンにかかった6000万円は高野を通じて受けた融資であり、圭介がUEMATSUから引っ張ってきた金ではない。今後、ギルダの経営が苦しくなり金が必要になるかもしれないが、運転資金のために不正をしてまで、UEMATSUから金を引き出す必要があるのだろうか。店に通っている以上、いずれ顔を合わせるであろう島、圭介、松男、高野。いろんな展開を楽しむのが島耕作ワールドのだいご味なのである。