お気に入りマンガの感想のようなブログです【一部ネタバレあり】

【STEP20】Come Away With Me

グレちゃんの一番弟子はさすがの有能さで、七瀬五郎の「松比良塗装」のリサーチは終了したようなのである。島のオフィスを訪れたのは、依頼内容の報告までが探偵の仕事だからだろう。それにしても、依頼者の1人である剣持松男がこの場に同席していないのはなぜなのか。

松比良塗装は県内4番目にランクする会社だが、なぜ業界3位のUEMATSUの仕事を受注できたのか?松比良塗装とUEMATSUの取り引きは過去に一度あるだけだ。では2代目社長の松比良勤とUEMATSUの間に付き合いがあるのだろうか?

どうやら、つながりはゴルフのようである。島耕作ワールドで何かが進展する場所といえばゴルフ場、とだいたい決まっている。それはコンペ参加者の「死」も含めて、である。松比良はゴルフ接待漬けでUEMATSUの人間を取り込んだのだろう。取り込まれたのは、営業本部長の高藤成行と、営業部長の岡林功次のようである。もちろんゴルフはきっかけにすぎず、具体的にどう取り込まれたのかは不明だが、ピンポイントに営業部門の中心メンバーを取り込んだ松比良塗装も、なかなかのものではないだろうか。業界3位のUEMATSUとの取引を増やすことで、県内での地位を上げようとしていたのだろうか。

舐められすぎているのに気が付いていないのはそれはそれで幸せなのかもしれない

ここで七瀬五郎はお役御免。まさか報酬ではないだろが、島に鰻をご馳走になり退場である。ただ、きっとまたすぐ出番はあるだろう。

バトンを継いだのは剣持松男である。ターゲットが高藤と岡林の2名に絞られたら行動は早い。マンガのようなスピード感で展開するのである。

剣持は清宮由美子の店「ギルダ」で植松圭介に相談を持ち掛け、高藤の行動把握から入る。悲しいかな、剣持松男と清宮由美子の関係など、圭介は全く気がついていないのだろう。高藤のことを信頼しつつも松男の依頼を引き受ける圭介。そして、話は聞こえているはずだがポーカーフェイスの由美子。剣持も、すでに由美子が自分と関係を持っていることを知りつつギルダに足を運んでいるわけで、圭介を軽く見ているのは間違いない。ただ、剣持の行動も、由美子との関係も、何も知らない圭介のような人間のほうが、もしかしたら本当は幸せなのかもしれない。

マークされているのに気が付いていないうちがやっぱり幸せ

剣持は実に有能である。高藤本部長の秘書の女性から、本部長のスケジュールを聞き出すことに成功する。このあたりは、銀行マンとして多くの企業の監査をしてきた剣持にしてみれば、朝飯前なのだろう。

さて、鰻をご馳走になった七瀬五郎の次の仕事は、疑惑の3名の行動把握である。といってもこの依頼もイージーなほうだろう。自身たちに疑惑がかかっていることなど、松比良も高藤も岡林も全く思っていないようである。しかし、秘書によって高藤のスケジュールは明らかになっているのであろう。ゴルフ後に向かうのは銀座の「てんぷら春風」である。

ノリノリの副社長の横で縮み上がる本部長

会食後に道端で七瀬五郎から声をかけられる岡林本部長。これが夜の店のキャッチだったらどんなに良かっただろう。ただ、客引きは悪質なことも多いので注意が必要である。事前にちゃんと調べるか、信頼できる人間の馴染みの店などから始めるのが無難である。気が大きくなっても無謀なギャンブルはすべきではないのだ。

さて、客引きではなく調査会社の人間から声をかけられたと思いきや、続いて剣持松男、さらには副社長の圭介まで登場したとなったら、本部長も縮み上がるのは仕方がない。逆に、ビビるくらいならやらなければ良かったのである。ふてぶてしく開き直ったり、しらを切ったりするくらいの胆力のない人間は、ハナからやってはいけなかったのだ。

それにしても、圭介は意外にもこういった場に同席するのである。いや、圭介のことだから、剣持からの説明を、ドラマのような話と1人テンションを上げながら受け取っていたのではないだろうか。悪事を追求する側として、ノリノリで加わっているふうが見て取れるのである。