お気に入りマンガの感想のようなブログです【一部ネタバレあり】

【STEP25】With A Little Luck

本人に意欲があり、取締役会の多数が賛成し、なによりオーナー社長である植松権兵衛の意向が強いとなったら、もう決まりである。次期社長は剣持松男が推挙されることになった。UEMATSUの古参である上杉博志や長峰和馬は本意ではなさそうである。もちろん、植松圭介も仕方なくといったところだろう。

ただ、監査役についてさほど月日を経ていない剣持が継ぐことに違和感を抱いた社外取締役はいなかったのだろうか。いたかもしれないが、もとより会社寄りの社取もいるようなので、多数決で押し切ったといったところか。

もうすでにトップ気取りなのかそれとも元より覚悟があったのか

社取の面々を前にした剣持の挨拶も堂々たるものである。強気で野心にあふれ、社の方向性を示した内容に平瀬健一は納得のようだが、島は浮かない表情である。これは何を示しているのだろうか。剣持のギラギラ感が悪い方向に出なければ良いが、という懸念だろうか。ただ、堂々たる挨拶は、松男の覚悟の表れといえる。自身が婚外子として育ち、UEMATSUの後継の話しを母にも伝えたときから、この風景を思い描いていたのではないだろうか。

しかし、少々解せないのは、そもそも剣持にUEMATSUを継ぐ気があるかを確認しようとしたのは、長峰和馬ではなかったか。圭介が後継として頼りないことから、権兵衛の妾腹である剣持に目を付け島に依頼し、メガバンクの支店長の立場を知りながら意向を確かめたのはなんだったのか。それなのに実際に剣持が次期社長に決まるとこの表情、というのはちょっと理解に苦しむのである。それとも、実際の剣持の人となりをどこかで知り、後継にふさわしくないと考えたのだろうか。

社長になれず相手の女性には詰められる地獄のような展開

さて、まさかの展開で次期社長の座を剣持にかっさらわれた圭介は、自身の子を身ごもった女性と話し合いなのである。女性に店を持たせてやりたいと思うくらいなので、遊びではなかったかもしれないが、結婚など将来については1ミリも考えていなかったのだろう。そんななかで急に女性から妊娠を伝えられビビりまくりなのである。それならきっちり避妊しろ、と思うのだが、だいたいの男はおそらくそんなものではないだろうか。

それにしても、プライベートでそんな中で、仕事でも自身が社長に就けないかもしれないという、圭介はとんでもない日々を過ごしたと思われる。しかしそれをおそらく清宮由美子の店「ギルダ」で酔いつぶれるまで飲み、慰めてもらうことしたのではないかと想像できる。由美子をすっかり剣持に寝取られているのにも気が付かずに。

生むし、子育て中の養育費の話をされるし、認知も確約させられるしで、押されっぱなしの圭介なのである。ただ、ここでクモの糸なのである。そんな迫られるならもう結婚したほうが話しは早いのである。籍は入れないが子どもは認知し養育費も払い続けるくらいであれば、ここはもう覚悟を決めるべきなのである。しかし、女性は圭介が次期社長から外されたことを知っているのだろうか。すべて承知の上でのことであれば、素晴らしい女性なのである。

溺愛する息子か放蕩の愛人かそれが問題だ

さて、次期社長の件を圭介から聞き、穏やかではないのは会長夫人の植松貴子である。剣持とそういう仲でありつつも、次期社長は圭介以外の人間を認めることはできないのだろう。では剣持とこの先、どのような関係でいようと思っていたのか。圭介が剣持の右腕として活躍することを期待していたのだろうか。そもそも、貴子も多少はUEMATSUの株は持っているようだが取締役の一員でもないのだから、自身が許すとか許さないとか言っても誰も耳を貸さないと思うのだが。古参の連中は同情はするだろうが、それとこれとは別だろう。

といっても、腹の虫が収まらないのである。誰が何を言っても、納得いかないのだろう。ホテル住まいの権兵衛のところに乗り込んでも何も変わらないだろうが、きっと黙っていられないのである。

ここでも、次期社長に剣持が就くことに納得がいかないようだが、仮にも、絶対おかしいと疑いながらも日ごろから愛人関係である男が社長になるのだ。自分がやっていることを考えれば、剣持が社長になるのは決して悪いことだけではないだろう。それでも圭介に後を継がせたいという、親バカ的な考えだろうか。

高齢者を超回復させる専従トレーナーの有能さ

赤の他人に会社を任せるのも嫌なようであるが、権兵衛との夫婦仲などすっかり冷めているはずなのだから、別に剣持でも良い気がするが、どうも貴子は感情が先走っている気がするのである。まあ仕方ないかもしれないが。しかし、剣持は実は赤の他人ではなく、圭介の腹違いの兄なのである。それを知ったら、もうどうしようもないだろう。圭介の兄にあたる人物と寝ていることにショックを受けているのか、剣持が赤の他人でなくUEMATSU継承の筋目として資格があり、圭介が後を継ぐ可能性が消えたことにショックを受けているのか。圭介もだが、会長夫人もなかなか気が休まらなそうである。

それにしても権兵衛の回復ぶりである。日常会話は、倒れる前と変わらないくらいまで可能なようである。専従トレーナーの新谷さんの腕が良いのか、権兵衛の懸命なリハビリか。その両方か。半同棲レベルの付きっきりだと回復具合も半端ないのだろうか。