ドラマ『にこたま』が描く「正解のない愛」
ドラマ『にこたま』は、出会って12年、なんとなく幸せな日々を過ごす温子(橋本愛さん)と晃平(瀬戸康史さん)の関係に、晃平の同僚である高野ゆう子(比嘉愛未さん)が加わることで展開するラブストーリー。恋人、結婚、家族の“当たり前”を根底から揺さぶり、“正解のない愛”に徹底的に向き合う、令和の今だからこそ必要な挑戦的な物語として描かれています。
橋本愛さんは、自身の演じる温子について、「恋愛感情が人より薄くて、そもそも恋ってなんだろうとか。『私は晃平を愛しているのかな』と思うような人」と分析。渡辺ペコ先生ならではの複雑な感情の描き方に触れました。
キャストが語る役柄の深層

10年来のパートナーを裏切る役を演じた瀬戸康史さんは、「申し訳ございません!でもあれは役柄なので。今の僕は瀬戸康史なんで(笑)」と会場の笑いを誘いつつ、晃平が起こしてしまった事実に対して「彼なりに向き合おうとする」部分を彼の良いところだと語りました。
比嘉愛未さんは、自身の役柄である高野ゆう子を「とても感情が読み取りにくい人。冷静で、常に凛としていて自立した女性」と表現。晃平との関係について「自分で選択をした結果。倫理的にどうかという部分もありますが、彼女はその選択を相手に押し付けない。1人で背負って生きていくという覚悟を持った強い女性」と、深い洞察を披露しました。
原作者・渡辺ペコ先生の先見の明
橋本愛さんは、渡辺ペコ先生がこの漫画を描いたのが10年以上前であることに触れ、「当時は、今よりも多様性が可視化されていない状態だったと思うんです。恋愛するのが当たり前とか、幸せな家族像とかを共通認識として持っていた時代だったのかなと。そのなかで、先生がこの作品を描いたところが本当に恐ろしいし、先見の明があるなと感じました」と、原作の持つ普遍性と時代を先取る視点に感銘を受けたことを明かしました。
ドラマ化にあたっては、原作と少し表現が変わっている部分もあるとのことですが、制作チームと「一生懸命考えながら作っていった」と、原作へのリスペクトとドラマならではの表現への挑戦があったことがうかがえます。
印象的なセリフと撮影秘話
重いテーマを扱いながらもポップな表現が多い本作。瀬戸康史さんが手錠と足かせをしながらグリーンバックで奮闘したシーンや、比嘉愛未さんがクールに大量のポテトフライを食べるシーンなど、撮影現場でのユニークなエピソードも披露されました。
キャストそれぞれが印象に残ったセリフとして挙げた言葉からも、登場人物たちの葛藤や心情が垣間見えます。
橋本愛さん(温子のセリフ):
「あっちゃんは、冷めてるもんねー」なんてことない一言だってわかっているのに、妙にざらっと残ってしまうのはなぜでしょう瀬戸康史さん(晃平のセリフ):
明日にも俺かあっちゃん死んじゃうかもしれないんだよ。言いたいことは言えるうちに言っとかないと。比嘉愛未さん(高野の心の声):
この期におよんでわたし、まだあの人に期待してるんだ…

現場の雰囲気とキャストの素顔
瀬戸康史さんは、比嘉愛未さんの「明るさ、ポジティブさの秘訣」について質問。比嘉さんは「人生一度きり。今体験できることを思い切り楽しもうという精神」と語り、落ち込んでいる時に瀬戸さんがHYの曲を一緒に歌ってハモってくれたエピソードも明かされ、和やかな現場の雰囲気が伝わってきました。
また、橋本愛さんの台本への書き込みの多さや、撮影の合間におもしろ動画を見て爆笑しているという意外な一面も明かされ、クールな印象とは異なる素顔が垣間見えました。
主題歌と作品情報
くるりが歌う主題歌「oh my baby」について、橋本愛さんは「作品に寄り添いつつも、くるりさんらしい世界観で包んでくれたのがうれしかった」とコメント。瀬戸康史さんは「ずっと申し訳ないという気持ちで本編を観ていたんですけど、主題歌のこの曲に救われました。ホッとした気持ちになりました」と、楽曲が作品に与える影響の大きさを語りました。

FODオリジナルドラマ『にこたま』は、FODとPrime Videoにて配信中。毎週金曜20時に最新話が配信されます。

作品の詳細や最新情報は、以下の公式ページで確認できます。
原作ファンも、そして「家族のかたち」について考えたい人も、ぜひこの挑戦的なラブストーリーを体験してみてください。きっと、あなたの心に何かを残す作品となるでしょう。

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