島耕作、社外取締役としてUEMATSU塗装工業に初出社である。そういえば、TECOTの役職についている時代に、他社の社取を務めることはなかったのだろうか。日本でも数人しかいない、経済交友会の代表幹事を務めた人物である。いくらでも声があったと思うのだが。もしかしたら、自社(TECOT)一本に注力する、ということで断っていたのかもしれない。
いつの間にかすっかり出番のなくなったフードデリバリーの社外取締役を除いて。あの事業はどうなったのだろうか。スタートアップ企業なので社外取締役としての報酬はあまり望めなかったはずだ。まさかの無報酬だったのだろうか。だからもう関心はなくなってしまったのだろうか。ただ、金額だけで動く島耕作ではないと思うのだが。
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UEMATSU塗装工業の取締役会の面々

・植松権兵衛(UEMATSU塗装工業 会長兼社長)
・得能恭三(五井不動産会長)社外取締役 議長
・木林森(六本木会計事務所 代表取締役)
・上杉博志(UEMATSU塗装工業 執行役)
・長峰和馬(UEMATSU塗装工業 執行役)
・河西金太郎(芙蓉証券 相談役)
・小川幹雄(音羽食品 代表取締役 社長)
・殿岡和子(サンスター法律事務所 主幹 弁護士)
・辰巳淳子(曙ロジスティック CEO)
・植松圭介(UEMATSU塗装工業 副社長)
前話によると、UEMATSU以外の7人の社取のうち、2人は会社寄りだという。議長が会長のシンパというのはなさそうだが、金融絡みであれば怪しいのは河西か。UEMATSUの取引関係や会長の旧知の仲で考えれば、小川(音羽食品 代表取締役 社長)、辰巳(曙ロジスティック CEO)あたりが、会長に忖度する人物、つまりほとんど形だけのお仲間的な社取なのだろうか。これは後々明らかになってくるだろう。
典型的なワンマン社長が権力を振りかざす漫画のような取締役会

さて、社外取締役会である。島の紹介もそこそこに、植松権兵衛がかましてくる。「会社のことを一番わかっているのは自分だからまずは自分に言ってこい」とのことだ。まあ、いきなりかまされたら怯むか、面倒な爺だな、と受け取りあまり意見も言わないほうが良いな、と感じるのが普通だと思うが、島にそのかましは無意味だろう。
その高圧的な態度を殿岡弁護士から指摘され、その通りという者、会長の気持ちを代弁する者、代表のかまし1つで毎度おなじみ侃侃諤諤(かんかんがくがく)である。会長の発言に対し島はズバリ正論を返す。取締役会の空気もしっかり評価しながらのコメントはさすがというべきか。
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ところで島は、TECOTから離れた後に起業したようである。起業というか、ビジネスをするのに個人より法人格のほうがいろいろ良いという判断だろうか。社名はそのまま「株式会社 島耕作 事務所」である。島ほどの知名度があれば、いちいち○○コンサルティングだの○○パートナーズだのを付ける必要もないということか。
入居しているビルは赤坂Bizタワーを彷彿とさせる。いきなりそんなところを借りる必要があるのかと思うが、経済交友会の代表幹事まで務めた人物であればどこにオフィスを置くかというのも大事なのだろう。まあ、賃料が50万円だろうが100万円だろうが、別にどうでも良いのだろう。
UEMATSU以外の社外取締役の仕事、その他コンサルティングや講演料などで売上はあると思われる。一方の支出は、島の役員報酬+経費(ほとんど飲み食い、タクシー代)くらいだ。現在、社員はいなさそうである。久美子くらいは取締役になっているかもしれない。しかし、取締役に就いたところでこれといった仕事もないだろうし、島以上に資産を持つ久美子が役員報酬を受け取りたがるとも思えない。ほぼ個人事務所と捉えて良いだろう。
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高級ワインで事務所飲み
さて、今夜の島と平瀬は珍しく事務所飲みである。その後バーに繰り出すのかもしれないが。「残生に乾杯」というものの、誰よりも元気な75歳である。81歳の平均寿命まであと5年などとしみじみぶって話しているが、2人とも90歳過ぎまでピンピンしていそうである。
考えてみれば島は初めて、会社から給料を受け取る立場でなくなったということか。自分で給料(役員報酬)を決め、自分で仕事も決める。社外取締役としての新たなスタートは島にとって「最後の青春」なのである。まあ、島の場合いつ「性」に代わってもおかしくないのだが、さすがに75歳ともなれば困難か。ただ、それをやってのけるのが弘兼先生ではないか、という期待もあるのだ。
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