お気に入りマンガの感想のようなブログです【一部ネタバレあり】

【STEP24】Unchained Melody

ライチャス・ブラザーズの代表曲だが、二人は実の兄弟ではない。紛らわしい名前つけるなよ、と思うが、売れてしまえばよいのである。さて、日を改めて訪問するマメさが島耕作の人柄なのだろう。訪問先は病院でもホテルでもない。新谷の住むマンションであり、植松権兵衛会長が半同棲している住まいでもある。そう、権兵衛は週の半分ほどマンションに泊まっているようで、つまり2人はそういう関係なのだ。ただ、そういう関係といっても肉体関係ではないようである。では、そういう関係とは、いったいどういう関係なのだろうか。まったくもって謎である。

若さゆえの経験不足なのか頼りなさなのか本音はどこにあるのか

権兵衛は杖をついているものの、1人での外出ができるほど回復しているようである。島との会話はもちろん、UEMATSUの後継についてだが、社外取締役のなかで最年長の島には、権兵衛も信頼を寄せているようだ。社外取締役が短く、フラットに会社のことをとらえられるのもプラスなのだろう。

取締役会の多数の意見で、社長の後継指名は剣持松男になる予定である。では現在、社長代行を務める圭介の立場はどうなるのか?ここはやはり、父親である権兵衛が自ら息子に伝えるのが筋だろう。取締役会でいきなり自分以外の人間が次期社長に指名されたとなると、能天気な圭介もさすがに穏やかではないはずだ。気になるのは会長夫人の貴子の動向だが、権兵衛は眼中にないようである。

寄りたいと思っていた部屋に寄れずそこには実はもう別の男がいるという地獄のような展開

清宮由美子の店「ギルダ」で酔いつぶれる圭介。そういうところだよ圭介、と多くの読者からツッコミが入りそうだが、これが圭介なのである。由美子の部屋に寄ろうとしてあっさり断れるのは、男として辛い。いい奴なのだが、これが圭介なのである。

由美子が圭介の誘いを断ったのは、もうすでに先客がいたからである。由美子は、圭介と剣持松男が腹違いの兄弟であることはまだ知らないだろう。一方、腹違いとはいえ、あまりに近い関係の女性の部屋に上がり込んでいる松男は、さすがの胆力である。松男にとって由美子も一時期の相手にすぎないと思うのだが、どうも由美子と圭介の関係がまだ続いているのが面白くないのかもしれない。要は、独占したいのだろう。

由美子が圭介と付き合っているのは、UEMATSUの後継者であり太客だから、というのが最大の理由だが、その地位がなくなり思うように金を使えなくなり、かつ、別の女性と付き合っていることを知ったら由美子はどう出るのだろうか。松男との関係を深めるのだろうか。由美子の出方にも関心が高まる今日この頃である。

公私ともに青天の霹靂な一撃を受けても人は立ち直れるものなのか

権兵衛と圭介の親子水入らずである、なんてほほえましいものではないのだ。権兵衛が住まいとしているホテルの中のレストランに呼び出されランチといっても権兵衛の腹は決まっており、知らぬは圭介だけなのである。

UEMATSUの後継が自身ではないことを権兵衛から聞かされ、さすがにショックを受ける圭介。しかも次の社長が古参の上杉博志ではなく、剣持松男と知り、ダブルショックである。馬が合う、といっていた友人でもさすがに応えるものがあるのだろう。しかし、圭介は自身の体たらくを自覚しているようである。夜な夜な盛り場をうろついていること、所帯を持たずにいること。以前、営業に自信を持っているようなことを言っていたが、ボンボンとして37年生きてきて、世の中をどこか舐めていたことを理解したようである。

能天気な圭介もついに心を入れ替えるかと思いきや、タクシーで向かった先は「店を持たせたい」、といっていた女性の住まいである。凹んだ気分を慰めてもらおう、と寄ったところで女性が放ったひとことは、これまた強烈である。次期社長の目がなくなろうとしているときに、妊娠を知らされたら、圭介でなくても驚くだろう。しかし、避妊はしていなかったのだろうか。本命でない由美子とは、由美子の希望で避妊をしていたかもしれないが。このあたりが社会を舐めている圭介らしい展開なのである。