剣持松男を止めるのは誰か?スポーツではないのだが、このままでは剣持の独裁が続き、かつての主要メンバーは排除されるだろう。しかし、UEMATSUの社内に剣持に対抗できるような人材はいないようである。トップ以外に有望な人材がいないというのは、植松権兵衛のワンマン経営の弊害だろうか。それとも、すでに排除されてしまったのか。はたまた有能うえに、剣持率いるUEMATSUに見切りをつけ、他社に移ってしまったのだろうか。
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何の躊躇もなく名門ゴルフ場の予約を入れるのは富裕層のなせる業か

さて、取締役議長の徳野はなかなか熱心な人物である。社外取締役を退任する木林が、後任に推薦した人物とさっそく接触を図るつもりである。その人物は各務英明(かがみひであき)68歳、三友電建会長で、人呼んでミスターパーフェクトである。人物評を知るために呼び出されたのは、経済連副会長を務めたテコット相談役の国分である。
ジェントルマンで飲み歩きや女遊びをしないようだが、趣味の1つがゴルフとなれば、もう決まりである。島と徳野、国分、各務の4人でフォーハンドレッドでラウンド開始である。
ちなみに、モデルとなったであろうゴルフ場のファイブハンドレッドクラブはドレスコードもしっかり決められている名門コースである。会員権を持っているのは、島だろうか。それとも徳野か国分か。
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シャレの利かない面倒くさいオヤジかそれともすべてお見通しのうえでの演技か

ゴルフは性格が表れるスポーツといわれるが、各務はどのようなプレーを披露するのだろうか。ラウンドを通して、UEMATSUの社外取締役にふさわしい人物かを見極めるのが、本日の目的だ。ただ島耕作ワールドにおけるゴルフは「死」と関連することが多い。搭乗したばかりの人物に死が訪れることはないだろうが、油断は禁物である
ラウンド前にメンバー内でローカルルールを決めることがあるが、各務はどうやら堅物のように見える。初顔合わせということで通常ルールにのっとりラウンドをするのは良くあることだ。ただ、仲間内であれば気軽にOKを出したり、甘くジャッジしたりするであろうポイントに厳しいのである。たしかにルール通りなので何も悪くないのだが、初対面の人間とのラウンドで口うるさく言われるのは、なんだか面倒な人物に映る。あまりの細かさに、島も徳野も国分も唖然なのである。遊びなのだからワイワイ楽しくラウンドしたいのが本音だろう。
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人を試そうとするとき相手もまた試しているのだ

しかし、各務がルールにうるさいのは、ただの気難しいオヤジだからとか、一本芯の通った九州男児だからとかではなかった。島たちの思惑は、各務にバレバレだったのである。それはそうだろう。木林から、自身の後任として社外取締役に就任することについて、何も聞いていないほうが不自然なのである。そして、島と徳野とラウンドするとなると、誰でも、プレーを通して仲を深めるだけとは思わないだろう。誰だってそー思う。おれもそー思うのだ。
つまり、各務はただ面倒なオヤジということではなく、社外取締役にふさわしい、コンプライアンスに厳しい人物としてふるまったのである。真意を読み取りここまで立ち回れる人物にNoを出す島たちではないだろう。
つまり、剣持と渡り合えるパワフルな人物と評価されたわけだが、島や平瀬は渡り合える人物として適していなかったということだろうか。ベンチャー企業の社長である平瀬も、日本を代表する企業のトップを務めた島もパワーはあるはずだが。性的な意味でも剣持に負けないだろう。さすがに高齢な2人ではあるが。さて、各務もかつては強引なM&Aをやってきたようだが、そのあたりは剣持とどう違うのだろうか。剣持より話は分かる人間のようだが、今後の取締役会への興味が高まる今日この頃である。
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