お気に入りマンガの感想のようなブログです【一部ネタバレあり】

社外取締役【STEP41】Empire State of Mind

島耕作inNYである。お出迎えはすっかり大人になった耕太郎である。桜沼酒造の社外取締役の到着なのだが、沼田清伍会長や社員のお出迎えなどはなかったのだろうか。耕作のことだから「そこまで気を遣わずに」ということだろうか。まあ、今回の渡米のスケジュールは桜沼酒造のレセプションパーティーぐらいで、ほかはほぼプライベートタイムなのだろう。ということで、タクシーでホテルまで移動である。

ニューヨークのタクシードライバーに移民が多いのはなぜなのか

言葉や地理の問題などはないのだろうか。それとも今は、行き先もスマホ入力で済むので誰でもできる仕事ということか。日本にも外国人労働者のタクシードライバーが増える時代が来るのだろうか。と思ったら、ありがたいことにこんな記事があった。国光自動車様には感謝しかない。

タクシーの社内での空間は意外と難しいものである。やたらとしゃべるドライバーのおっちゃんもちょっと困りものだが、不愛想なのも困ったものである。こちらも多少の知識はあるもの、そこまで詳しくない最近のプロ野球や大相撲の話などを延々とされると、さすがに合わせるのも難儀なのである。今の時代、乗客のほとんどは乗車中、スマホをいじっているだろう。聞いてもいないのに野球の結果を伝えてくる運ちゃん、結果は帰宅まで絶対に知りたくないので情報をシャットアウトしたい乗客との攻防などはもう現代ではなくなったのだろう。

乗車したタクシーで言葉の問題などがあった場合は仕方ないが、それでもコミュニケーションが成立する嬉しさを感じたいものである。しかし、繰り返しになるが、今は車内でもスマホをいじりまくっていて会話などないのかもしれない。耕作たちが乗ったタクシーのドライバーも愛想は良くない。しかし、近郊の工事情報などはしっかり入手しているようである。そして、チップは最初から料金に含まれているのが現在のようである。電子決済が進んだ今や将来、サービス料のように組み込まれるのだろうか。

絶対になくしてはいけないものをなくす主人公

そして、ホテルについたと思ったら島耕作、痛恨のミスである。国外でパスポートを紛失するというのは、まさに地獄である。それにしても海外慣れしているはずの耕作らしからぬ失態である。だが、それでも特に焦りもしないのが耕作なのである。宿泊先のホテルも、どうやらパスポートがない場合は、チェックインはクレジットカードで本人確認ができれば良いらしい。そんなものなのだろうか。

島耕作の海外での紛失と言えば、預かった1万ドルを掏られ、しかし馬島典子の豪運に救われる、というエピソードが思い浮かぶ。大泉裕介亡き後の典子の出番は今後、あるのだろうか。

話しは戻り、紛失したパスポートの再発行申請はもちろん、帰国のためにはもちろん、領事館で紛失届を出し、渡航書の発行手続きが必要だ。海外でモノを紛失した場合、出てくることはほぼ期待できないだろう。そもそも島はどこで無くしたのかも定かではないのだ。空港に問い合わせるくらいができるせいぜいだろう。

少し古いが、平成27年におけるパスポートの紛失・盗難の件数は約4万件だそうだ。クイズ形式でパスポートに関する知識が学べるサイトが外務省にあるので時間があれば目を通してみるのも良いだろう。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/quiz.html

日本料理に魅了され修行を続ける孫

さて、耕太郎は今も日本料理の腕を磨いているようだ。耕太郎の夢は焼き鳥屋である。ただ、日本の焼き鳥の味に魅了された耕太郎としては、ニューヨークの客向けに味付けされた焼き鳥は不満なのだろう。これは非常に難しい問題だ。「本場の味」は大切だが、実際に食し、評価するのは客である。耕太郎が勤務する店は、日本で食べたられる本物の焼き鳥を提供するよりも、アメリカ人の口に合わせて調理した焼き鳥を出すことに決めたのだろう。ビジネスとしてこれを否定することはできない。耕太郎の考え方はとても素晴らしいものである。しかし、本当に耕太郎が日本の焼き鳥で勝負したいのであれば、「正しいことをしたかったら偉くなれ」ではないが、自分の店を出すしかないのだ。

悲しいかな、母に似てきてしまった愛娘

翌日は、奈美との再会である。奈美もなんだか歳を取り、なんとなく母に似てきた気もする。そして、人に恵まれるのが耕作である。さらに、「こんな漫画みたいな展開があるかよ!」というのが島耕作ワールドなのだ。空港で乗ったタクシーのドライバーがまさかの再登場である。

人は見かけによらない、不愛想だからといって親切ではない、ということは往々にしてある。不愛想は、慣れない英語のコミュニケーションでうまく話せないため、といったこともあるだろう。口数の少なさは、緊張や遠慮などが関係しているかもしれない。そういえば、島が課長時代にニューヨークの地下鉄の車内で絡まれた、明らかにやばい黒人2人組は、実は金持ちに雇われた演技派のおもろい奴らだった。

タクシーでの移動時間だけで良い奴、嫌な奴と判断することなど、早計でしかないのだ。愛想の良くない来訪者に、宿泊者の名前をサラッと教えてしまうホテルの従業員はちょっと心配になるが、紛失したパスポートは、めでたく島のもとに戻ったのである。パスポートは昨日のタクシーの車内で落としていたのだった。

お礼も受け取らずにさっそうとタクシーで走り出す運ちゃんのなんと格好良いことか

客が落としたパスポートをわざわざ届けてくれるとは、なんとできた人間なのだろうか。仕事でたまたま近くを走っていたなどの理由もあるだろう。しかし、ニューヨークに来て、タクシードライバーとして生計をたてようとしている人間である。近辺の道路情報を把握しているように、プロなのだ。彼としては、当たり前のことをしたにすぎないのであろう。

1万ドルを一瞬でスられた経験もある耕作だが、今回は典子ではなく、ドライバーの運ちゃんに救われたのである。