お気に入りマンガの感想のようなブログです【一部ネタバレあり】

【STEP5】Don’t Be That Way Part.1

スウィング・ジャズの代表的ミュージシャン、ベニー・グッドマンの代表曲の1つである。盗作騒動が起きたとしても、それが「その手はないよ」だとしても、まさか自身の愛人が関わっているとは露にも思わないのである。

盗作とは、どこからいつからが盗作なのだろうか。小説や音楽などで世に出ているものと酷似していれば、盗作騒動となるだろうが、世間の目に触れないものはどういう扱いをされているのか。世に出る前の、制作段階ではどうだろうか?

よりによってライバルメーカーに情報漏れを起こすのは致命的

手痛いミスである。ミスというより「獅子身中の虫」がいるというのが正しいだろう。印刷の工程まで進んでいるとはいえ、ライバルであるソラー電機のポスターは、すでに系列店にまでに出回っている。こういう事態が発生した場合、だれの責任になるのだろうか。部長の福田敬三か、そうなる前に気が付かなかった課長の島か。最終的には福田の責任だろうが、昇進に向けて減点は絶対に避けたい福田としては、早期の解決、いや揉み消しに走るだろう。

ということで、誰がリークしたのか?ソラー電機とつながっているのは誰か?困ったときはプロに任せるのが良い。探りを入れるなら探偵である。そうなったらアーバンリサーチ社をおいて他にはない。グレちゃんこと木暮久作、本作初登場である。

おとなしくてつつましくて地味で目立たない‟四枚目の北”ぐらい安全な出納帳の女、というこれ以上ない最低な例え

【STEP1】カラーに口紅」で田代友紀に「不器用な抱きかた」といわれた島だが、どうやら営業本部経理部の鳥海赫子とは深い関係にあるのはなぜか。田代友紀と関係を持ったのは課長昇進直前の係長時代である。赫子との関係がいつから始まったのかは不明だが、10回以上も関係を持っているのであれば、課長昇進直後からの関係なのであろうか。

赫子とのきっかけは、島の仕事上のミスである。そのミスを赫子にうまく処理してもらい、そのお礼も兼ねた会食で酩酊状態になりそのまま・・・という、どこかで見たケース以来の関係のようだ。となれば、慌てて「刑法37条」とクズな弁明を持ち出し田代友紀との関係後と思われる、保身に走った明らかに違う。また、赫子に弱みを握られている様子もない。つまり明らかに意思を持って関係しているのである。

それにしても、ホテル代を赫子に持たせておきながら、地味、口が固く安全、浮気相手としては最適、と相変わらずクズな評しかたをし、さらに、特に好きだったとかどうしても寝たかったとかそういう感じではない、などと言い訳がましい最低最悪ぶりである。

女子便所をのぞき見しているようなうしろめたい気がしても仕事はしっかりこなす耕作

販売助成部の仕事は、試験的に制作した製品の実験もするようである。通信機器事業部の超高性能盗聴器を社内で使おうとする福田。その指示を受ける島。設置場所が給湯室というのがなんとも時代を感じさせるが、当時は女性社員の息抜きの場だったのだ。本音、不満が飛び交う給湯室での会話をチェックし、対策を講ずるのは果たして本当に管理職のやることなのか。日ごろのコミュニケーション不足を認めているようなものではないのか。だが、時代は昭和である。女性社員の扱いは今と全く異なり、「社員のウェルビーイング」などという言葉も存在しなかったのではないだろうか。

社内に人けがなくなる時間帯まで残り給湯室に盗聴器を設置し、休日出勤してまで盗聴テープの文字起こしをする島。島が上司の指示に忠実なのか、福田の圧が強いのか。どちらもだろうが、島が休日の家に居場所がない、というのもあると思われる。

絶対の安パイだと思っていた‟四枚目の北”でまさかの国士無双をぶち込む羽目に

さて、ここからは島耕作ワールド展開である。弘兼作品の真骨頂とも言えるだろうか。初芝の通信機器はなかなか優秀で実にクリヤーな音で赫子の声もしっかりキャッチするのである。赫子は誰と会話していたのか?赫子がソラー電機に会議資料のコピーを渡す理由はどこにあるのだろうか?

島に呼び出されるも、まったくひるむ様子がない赫子はどういった心境なのだろうか。島との関係以上のことをなにか握っているのか。独身OLで600万円の定期預金を持ち六畳一間のアパートに住んでいる地味な女、と評する相手に今にもやり返されそうな主人公なのである。