お気に入りマンガの感想のようなブログです【一部ネタバレあり】

【STEP6】The Locomotion

植松圭介の愛人(?お互い独身なら、パートナーとまではいかなくてもただのライトな関係ではないのか?)、クラブ「殿」のナンバーワンホステスの清宮由美子がさっそく店に目星を付けたようである。坪300万円で20坪だそうだ。つまり6000万円。これが銀座である。銀座に店を出すというのは、そういうことなのだ。

そして、副社長の圭介にそんな金はない。会社から出すことも無理である。なにせ、事業の重要な部分さえ、父である権兵衛から任されていない男である。会社の金庫番に話を持っていったところで父親に伝わり、出資はNGになるのがオチである。

ただ、そんなことは、夜の銀座を生き抜いてきた由美子も承知である。融資は個人で受け、圭介には保証人になったもらう腹積もりだ。由美子は「殿」を法人化しているのだろうか。個人で6000万円はちょっと難しいのではないか。まあ、UEMATSUレベルの会社のの副社長もなれば、6000万円の保証人として務まるのだろう。評判はどうあれ、業界3位の企業の副社長であり、オーナー社長の息子である。保証人としての能力を高く買っているというのは、さすが由美子というべきか。いや、その肩書があるから圭介と付き合っているということか。

張り寝ず視、今日も暗躍す

と、その話に聞き耳を立てているのが七瀬五郎である。なんと有能な男なのだろう。一週間の張り寝ず視は依頼内容を十分に終えているような気もするが、定点観測的に継続しているのだろうか。

ホテルでの打ち合わせをこなすなど、どうやら仕事はちゃんとしている様子の圭介。と思ったら、さすがである。なぜホテルで打ち合わせをする必要があるのかというと、それはそうである。上階に移動したとなったらどうやら、由美子とは別の女性が部屋で待っていたようである。まあ、仕事を終えたあとであれば、誰にとやかく言われる必要はないだろう。

融資が下りるかどうかは保証人の名前と支店長の判断がすべてである

ところ変わって、四菱銀行築地支店である。剣持松男支店長の仕事の1つは、大口の融資を認めるか否かである。高野部長が持っていた案件は、清宮由美子の6000万円の融資である。

銀座のホステスへの融資ということ剣持もさすがに信頼度を確認するが、保証人に植松圭介の名があれば、別である。こんな偶然なんて二度とないだろう。植松圭介の名があるからハンコを押す、というのもよく考えたら謎だが、どう転ぶか見ものである。まあ、どう転んでも責任を取れる自信が松男自身にあっての押印なのだろうが。

いつも仕事の話しになるのは性分かそれとも年のせいか

さて、今日の島と平瀬健一の昼食は「そば 芳庵」である。この二人はいつもランチをしていて飽きないのだろうか。また、島はまだしも、平瀬は「はつらつ介護システム」社業があるはずだが。まあ、事業はすでに、自分が動かなくても問題ない仕組みを築き上げているのだろう。

それにしても、ランチ時の話しのネタが仕事と女、というのもこの二人らしさ満載である。圭介の女性問題は仕事にどう影響するか?異性絡みでコケる経営者もいれば、どちらも豪快にやってのける経営者もいる。思い返せば、島も平瀬も、万亀さんも中沢さんも、大泉さんも、誰もかれもである。どう転ぶかは誰にもわからないのである。

とはいえ、島も社外取締役としての考えも一応持っているようで、圭介が次期社長として物足りず、剣持松男の線も消えたとなれば、別の候補者を探さなくてはならない。プロ経営者に依頼するというのも現代的であり、テコットの社外取締役を務めるビズロンに頭出しをしようとする島であった。

地政学的な焦げ付きでも支店長の責任にされる恐ろしさ

島と平瀬が蕎麦に舌鼓を打っている一方で、剣持は大変な事態に見舞われていた。20億円が焦げ付いたのである。融資をしていた交易会社が倒産したのだ。理由は、ロシアからの輸入が止まったこと。ロシア関連の貸し付けが吹っ飛んだことによる倒産である。交易会社の関連会社でも連鎖倒産が起きているだろう。ロシア・ウクライナ問題は対岸の火事ではないのである。

倒産情報をいち早く入視したであろう、本店の中村副頭取からの呼び出しをくらう松男。早速本店に行ったところ、責任追及も𠮟責もされるわけでもなく、ただたんに、今後のことを告げられる。仙台の基板メーカー行き。まずは出向というかたちだろうが、片道切符なのは間違いない。もう二度と、都心の支店長などに返り咲くことはないだろう。おそロシアである。

これぞ矜持か、母子に多くの言葉は不要である

一人、バーで考えをめぐらした松男が訪れたのは、母がいる神楽坂だった。芸妓に稽古をつけている最中の母に、左遷のことではなく、UEMATSUの後継の話をする松男。女手一つで育ててくれた母に、余計な心配をかけさせないようとする一人息子の愛だろうか。

多くを語らず、後押しする母。愛人、婚外子としてのプライドが見える一夜である。そして松男から連絡を受けた島は、何を思うか。