清宮由美子の店のオープンも近そうだ。オープン日も決まり、植松圭介も祝花の手配を検討中である。副社長とはいえ、胡蝶蘭を10鉢も送るとなったらUEMATSUの経理担当ももいぶかしがる気もするが、ワンマン社長の息子に口を出すほど度胸のある人間も社内にいないだろう。
ただ、圭介が送る10鉢の胡蝶蘭は全て他人の名前で並ぶ。つまり10人から胡蝶蘭が送られてきて、盛大に祝われているテイにするわけだ。とはいえ、勝手に名前を書くわけにはいかないので、いちおう、本人に名前を借りる許可を取り算段である。もちろん、胡蝶蘭は要らないから名前だけ貸して、そして近いうちに店に来て、という内容も含めてであることは容易に想像つく。
そして、名を借りる人間の多くは、由美子がかつて枕を共にしたことがある客、またはその後、愛人関係に発展し、現在は普通の関係であろうことも、容易に想像がつくのだ。
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張リ寝ズ視、ターゲットを変えて今日も活躍中

さて、長峰和馬に連絡を入れ、植松権兵衛のスケジュールを確認する島。どうやら権兵衛と接触を図ろうとしているようである。内容は、剣持松男の決心を確認したことで、それを権兵衛に伝えることだろう。ということで、今日の七瀬五郎は権兵衛の追跡である。圭介の追跡はもう終わったのだろうか。それとも今日は別ということか。五郎に動いてもらっているその金は、まさか島から出ているのだろうか。探偵1人を一日張り付かせると10万円は下らない。探偵にサクッと依頼できるだけの金があるのはうらやましい限りである。
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久々の出番も人を引き込む島の話術は健在

島が権兵衛を捕まえるために出向いたのは、六本木にある会員制クラブ「七花(ななか)」。仕事終わりに行きつけの店で一杯、と考えていたところに島が待ち伏せしていたのだから、権兵衛も驚きである。しかも内容が後継者に関してというのだ。人によっては、明日にしてくれ、と言いたくなる気がするが、さすがに自分の息子に関係することである。島の話しを聞く権兵衛だが、足は店内に向かう。気持ちは酒のほうに向かっているのだろうか。
ところが、剣持松男の名が出てきたとたん、権兵衛の足が止まる。この話しの持っていき方が島のすごさなのか。松男が条件次第でUEMATSUの後継になる意思があること権兵衛に伝えると、もう頭は自身の後継のことでいっぱいになったようである。ところで、圭介は43歳だった気がするが、島は36歳と言っている。これは島の覚え違いか、それとも誤植か、よくある設定変更か。理由は誰にも分からない。
世襲を避け一代挟む選択が吉と出るか凶と出るか

島の提案はこうだ。
まだ若い圭介に後を継がせるのは得策ではない。ワンマン経営者が独断で息子に世襲させたという印象が強すぎ、世間の評判が良くないだろう。そこで、48歳の松男が2代目を10年ほど務め、その後に圭介が社長に就任するというレールを引くのがベターではないか、というものだ。
松男は、まずは監査役でUEMATSUに加わり、事業内容、経営方針、企業体質などを熟知した後に社長に推してもらえるのであれば、と考えている。それには権兵衛も理解を示す。もう店に向かう足はすっかり止まっており、、島のトークに引きずり込まれる寸前である。
そして、そんなタイミングで現れるのが、まさかの松男なのである。このタイミングの良さ、驚異の引き寄せ、世間の狭さが島耕作ワールドなのである。ありえない遭遇に、島も権兵衛も驚きなのである。
ところが、島に気が付いた松男は、隣にいる高齢男性を見ても慌てる様子は全くない。父との40年ぶりの再会であることなどみじんも見せず、ごく自然に挨拶し、胆力をみせるのだった。
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